『おはなし屋』-space-『およろず』

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
 優しさがにじみ出る 興味をそそる方法
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
*Edit
   

未分類

英雄の伽《とぎ》 第三章 メルヘン Ⅰ

 
 優しさがにじみ出る 興味をそそる方法
←  次のpageへ



イヴは目を閉じ、檻に背を預けて座っている。

コンテナの中は、とても静かだった。
振動もなく、音もなく。これといって灯りもない暗闇だが、
ものをかたどる全ての輪郭───檻の鉄格子や、天井につながれた首輪の鎖、
コンテナの箱状のライン───が、蒼くほのかに発光している。
しかし、それらの輪郭は時折、ノイズが入ったように波形状にぶれたり、
にじんだようにぼやけては、ぴっと輪郭にもどったりを繰り返していた。

音はないが、少々騒がしい。
イヴはもたれた檻がぶれるたび、閉じた瞼を不快げに、ぴりっと痙攣させた。

ふいに、ベコッ!とコンテナの天井が沈み込む。
檻の中に流れ込む鎖。それにしこたま、アタマを叩かれ───
「おい!!」
イヴはついに、天井をどなりつけた。
「嫌がらせか!? 維持も出来ないヘタレか!? 
 どっちでもいいやちったあ安眠させろ!!」

応えるように、ひときわ乱れるライン。

檻に覆い被さるまでに低くなった天井を睨み、イヴは舌打ちする。
イヴの座り込む床板が、じわりと赤い光をにじませていく。
いっそう狭まっていく空間を見上げ、身動きも取れずに、イヴは鼻で笑った。
「ペンデュラムラインに、生きた人間を幽閉あげく空間拷問……?」
虚ろな目で、うつむくイヴ。軋む空間のなか、床の赤が目映(まばゆ)くなっていく。

「……ヴァルシスの民なら、死罪だ」

紅い光がひび割れた。
イヴの足元で、藍色の穴が口を開ける。

藍の中に背中から落ちながら、
イヴは自分に悲鳴をあげてついてくる首の鎖と、
鎖が繋がる、今や紅と藍がグラデーションをなす夜空のような天井をかすめ見た。



「首吊りで死ぬとは、思わなかったな」



嘲笑めいた呟き。
たわみを伸ばしきらんとする鎖、
天井と自分を繋ぐ、いまや首つりの縄となった鎖を、
イヴは噛み切りそうな目で睨みつけた。



視界がブラックアウトする、その瞬間まで。






英雄の伽 第三章  メルヘン



 

 next episode → メルヘン Ⅱ


←Read over again before chapter?






もくじ   3kaku_s_L.png   未分類
   

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
  • 【優しさがにじみ出る】へ
  • 【興味をそそる方法】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。